ハリー・ポッター小説が子どもにおすすめな5つの理由

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ハリー・ポッターは子どもにおすすめ?

子どものために読ませるかどうか迷っていませんか?

「映画」に出演したキャストたちは、大人になってからハリーポッターの物語をこう振り返っています。

物語のキャラクターたちに共感し、

自分が一人じゃないと感じた

出典:リターン・トゥ・ホグワーツ

ハリー・ポッターのお話の根っこにあるのは、魔法の力でも強大な敵に立ち向かう冒険でもありません。

それぞれが胸の奥に抱える「孤独」。

それを超える「愛情」や「友情」。

一方で「温かさ」に出会うことなく、心を冷やし切ってしまった「闇」がある。

そんな物語です。

実は、超元気・超ハッピー!みたいなお子さんだと合わないのかもしれません。

ですが誰でも心のどこかに欠けたような感覚や、愛情や友情があるからこその「嫉妬」や「孤独」を抱えているのではないでしょうか。

ハリー・ポッターを子どもたちに勧めるとしたら・・

「これめっちゃ面白いよ・・!!」というのはちょっと違う気がします。

そっと置いておく。

迷ったり悩んだりしたときに手に取って、重たいページを開く。

もろくて柔らかい子どもの心に寄り添って、そっと支えてくれる「お守り」のような存在

それが「ハリー・ポッター」の物語です。

この記事では、子どもの頃に「ハリー・ポッター」を読み、大人になったからこそ分かる、「ハリー・ポッター」が子どもにとってどんな作品なのかまとめます。

自分が読んだことないから、子どもに読ませるか迷っている。

そんなあなたが、安心して子どもに勧めることが出来るような記事にしました。

目次

ハリー・ポッターを子どもにおすすめできる理由

ハリー・ポッターを子どもにおすすめできる理由を5つにまとめてみました。

  • 子どもだった映画出演者の言葉
  • ヒーロー不在、変わり者ばかりの物語
  • 制約だらけの「魔法」
  • 現実との境界を曖昧にする「伝説・伝承」
  • 「死」の描き方

さらに、子どもに読ませるだけでなく、実は「親」として一緒に読むのがおすすめな理由があります。

それは、ハリーの母親「リリー」の存在です。

物語に「思い出」でしか登場しないのに、その思い出がさまざまな形でハリーを守る力になる・・というちょっと不思議な人物です。

それぞれ詳しくみていきます。

映画出演者の「居場所」にもなったハリー・ポッター

ハリーポッターが「子どもたち」の心にどんな影響を与えるのか。

それは、実際に子どもだったひとの声を聞くのが一番。

物語とともに成長してきた「映画の出演者」たちは、ハリーポッターの物語をどんなふうに感じていたのでしょうか。

1作目の公開から20周年を記念して、すっかり大人になった出演者たちが語った言葉を少しだけ。

ハーマイオニー役のエマ・ワトソン。

悲観的で辛い状況になった時、物語が居場所をくれる。そこで心の休息が取れる。

出典:リターン・トゥ・ホグワーツ

ロン役のルパートの言葉。

内気だったから共感できた。自分の居場所がわからない気持ちにね。みんな自分が1人じゃないと感じた。

出典:リターン・トゥ・ホグワーツ

子どもの頃には「1人じゃない」とか言葉化できないとしても、物語に心を救われる・・そんな経験を多くの人がしたからこそ、長い間愛され続けているのかもしれません。

登場人物の「欠け」と「孤独」に自分の姿を投影する

ハリーポッターには、いわゆる「ヒーロー」的な人物がほとんど登場しません

みんながそれぞれ何かを抱えていて、その「何か」が問題のきっかけになることもあります。

でも次第にそれが「力」に変わります。

変わった能力を持ちながらも人間性が豊かな人々の世界よ。風変わりな性格が能力として描かれる。

出典:リターン・トゥ・ホグワーツ

最初はただの「欠点」にしか見えなかったものが、物語の中で流れる7年という時間をかけて、「能力」となり、かけがえのないものとなる。

「それぞれに意味がある」なんて言葉で言うのは簡単です。

それをごく自然な形で、登場人物の成長や物語の進行を通して、理解を超えて心の底に染み込んでいく。

「ハリーポッター」が子どもの心に届けてくれる最大の贈り物なんだと思います。

ハリーポッターの魔法は、本当に「魔法」なのか

魔法が出てくる物語の多くは、登場人物は魔法を自由自在に使っている気がしませんか。

難しい魔法とかがあっても、成長すると使えるようになる・・とか、何か条件が揃うと使えるようになる・・とか。

というかそもそも、自由に楽に使えるから「魔法」でしょ?というイメージが強めです。

一方、ハリーポッターの「魔法」は努力して身につけるものです。

それぞれの個性があるので、努力しても出来ることできないことがあり、これは上手だけどこっちは全然!なんてことがよくあります。

ほうきで飛ぶのだって得意不得意がある。

杖を振って全て解決!じゃない。

失敗すれば事故につながる魔法もあるし、ゼロからなんでも取り出せるわけじゃない。

魔法そのものにも制約や制限があり、その上に「法律」がさらなる制約をかけます。

割とがんじがらめ。

・・現実の「学校」とか「社会」とかと一緒なんですよね。

多くの人が現実から離れた遠くの世界・・なんて思わずに、「共感」してしまう。

その秘密はこんなところにもあります。

歴史や伝説など膨大な資料を下敷きにした物語

ハリーポッターの物語は、全くの夢物語ではなく、世界各国の歴史や伝説など膨大な書物や資料を下敷きにしています。

それを証明するのが2017年から19年にかけてロンドン・ニューヨークで行われた、「ハリー・ポッター 魔法の歴史展」。

ハリーポッターと魔法の歴史展のパンフレットの写真

企画はイギリスの大英図書館です。

もちろんJ.K.ローリングの直筆原稿なども展示されましたが、それ以上に世界各国に残る魔術や呪文・天文学などの書物・資料などが展示されました。

パピルスに記された古代ギリシャの魔法の手引書や、レオナルド・ダヴィンチの天体に関する手稿、魔女を描いた絵画などなど・・。

何世紀にもわたって受け継がれてきた「魔法の歴史」の上に、ハリーポッターの世界があるわけです。

「魔法」というと日本人にはなんだかファンタジーに感じてしまう部分もあるんですが、日本で言う「妖怪」が身近に感じるのと同じ肌感覚なんだろうなと思います。

ハリーポッターは、全くの「空想」ではなく、たくさんの歴史的な資料や伝承など、大量の資料をもとにJ.K.ローリングが練りあげた世界。

だからこそ、奥行きがどこまでも深く、それなのに現実との境界が「あいまい」に感じる。

魔法に溢れた世界が、すぐ近くにあるような錯覚を起こすのだと思います。

ちなみに、大英図書館で生きている作家の展示会が行われるのは、J.K.ローリングが初めてなんだそうです。

>この展示会を追ったドキュメンタリー「ハリー・ポッターと魔法の歴史」は、U-NEXTやAmazon Prime Videoで見放題です。

ハリーポッターの物語で描かれる「死」

ハリーポッターがただのファンタジーに括れない1番の理由は、「死」との向き合い方にあります。

死んでしまったものは、もうどうにも復活しません。

ハリーの魔法の世界では、古い写真が動いたり、手を振ったりします。

死んだ人たちも、まるで生きているかのように動きます。

特にホグワーツの歴代校長先生たちは、意思を持っているかのように話をし、ときには行動します。

でもそれはあくまで魔法による「記憶」の再生。

決して「生きた本人」ではありません。

ファンタジーによくある「死者との会話」みたいなこともありません。

聖水で復活、とかもしません。

たとえ出てきたとしても同じような姿形を持った記憶、「こだま」のようなものが出てくるだけ。

そんなふうに徹底されています。

1度だけそれに近いシーンはありますが、よくよく注意して読むと、生き返ったとか不思議が起こったとかそういうことではありません。

死は乗り越えられないものとして描かれると同時に、大切な人を失うという事実と向き合うための術をさまざまな角度から教えてくれる。

それがこの物語の最大の特徴です。

子どもと一緒に読んでみませんか?

子どもの読む本、と言わずに一緒に読んでみるのがおすすめです。

その理由は・・

ハリーポッターの物語の裏に、実はほぼ物語に出てこない「ハリーの母親」の存在がとても強くあるからです。

ハリーの母「リリー・ポッター」は7冊分の物語が始まる以前に、ハリーの父親とともに死んでしまっています。

なので、物語の中に出てこないのはもちろん、過去の振り返りを含めてリリーが1人称で登場する場面はほとんどありません。

ただ、リリーの存在は物語を通して、多くの登場人物の口から思い出として語られます

地の文で「リリーはこんな人でした・・」という説明はありません。

代わりに登場人物たちが、先生として、友人として出会った「リリー」についてハリーに語ります。

その断片をつなぎ合わせて、ハリーと読者である私たちの中に「リリー」という人物が鮮やかに浮かび上がるようになっています。

思い出になりきっていない「想い」の状態で、登場人物それぞれの心の中に「生きている」と言ってもいいような鮮やかさで蘇る、そんな不思議な描かれ方をするのがリリーです。

ハリーポッターにはいわゆるヒーローは「ほぼ」出てきませんが、その中で唯一ヒーローに近い人がいるならこの「リリー」だと思います。

リリーが多くの人に与えた「思い出」が、それぞれの心に深く深く刻まれ、ハリーを守る力として物語を大きく動かしていく。

切なさすら感じる、大きな愛情。

そんな視点で読んでみるのも、今しかできない、親だからできる読み方ではないでしょうか。

子どもの頃はそれを「はっきり」と認識できないかもしれませんが、それでも心の中にポッと温かいものが残ります。

それは「リリー」が残した愛情のように、子どもたちの心にお守りのように灯し続けてくれる温かい明かりとなるはずです。

そして子どもが大人になったら、親子で改めて感想を言い合う・・

ハリーポッターを通してそんな豊かな時間が作られたら素敵だと思いませんか?

まとめ

ハリーポッターの物語は、単なる空想の世界を描いたなんでもありの物語ではありません。

決して超えられないものがあって、それを受け入れながら、それぞれの持っている欠点も能力に変えて強く生きていく。

たとえ隣にいられなくても、時間を超えて大切な人を見守ることができること。

そんな生きていく上で大切なことを、さりげなく心のどこかにプレゼントしてくれる。

それが「ハリーポッター」の物語です。

大切な人と一緒に物語のページを開いてみませんか?

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