スネイプがこれほど人気なのは、実は二重スパイで正義の人だったとか、リリーへの切なすぎるほどの純愛があったから。
ぱっと浮かびますし、異論はありません。
でも、実は彼は誰よりも自由で、自分に対して、どこまでも正直だった。
嫉妬、劣等感、過去の恨みつらみを決して忘れない陰湿さ。そんな人間の煩悩つめあわせセットみたいな感情を、一切隠そうとしない。
人にぶつけるのは褒められたことではありませんし、人として手本にはなりません。
でも、劣等感を持たない方法、とか、嫉妬しないために、みたいな、自分を聖人にしていく方法ばかりが取り沙汰される中で、その感情丸ごと人間だぜ、みたいに生きてる。
そんなところに、今の時代だからこそ、惹かれてしまうのではないでしょうか。
ただリリーのために、セブルス・スネイプの自由さ
物語の中でのスネイプは、二重スパイ。しかも相当な命懸けです。
ダンブルドアにもウォルデモードにもその立場を縛られているように見える。
でも、実はあれほど自分の感情に素直に行動した人はいなかったのではないかと思うのです。
だってよく考えてみてください。
ハリーへの態度、生徒たちへの態度を。
反対に、自分の寮の生徒たちのことは、ひたすらに可愛がる。
えこひいきも良いところです。今の時代だったら、大問題。笑
ジェームズに似ているから、と言ってハリーをいじめていると思っていましたが、リリーが死んでしまったのは、よくよく考えると、ハリーのせいでもあるわけで、ハリーを守ったせいでもあるわけで。
スネイプがハリーをいじめた理由は、そんなところにもあるのかもしれません。
だからといって、大人があんなに自由な態度をとって良いはずがない。
それなのに、実は恨んでいた憎んでいた人たちすら助けようとしていて、もっと言うとハリーのことも助けようとしていて。
だけど、それは世界のためとか正義のためとか、そんな大きなことではなくて。
ただ自分のため、ただリリーのため、その1つの信念だけで、生き抜いた。
それがどんなに今の時代に否定されることだったとしても、人として褒められることじゃなかったとしても、どこか心の奥底で、私たちはその生き方に惹かれているんじゃないかと思うのです。
今の時代だからこそ、スネイプの堂々たる態度に惹かれる
本屋にもネットにも溢れているのは「みんなに愛される方法」です。
より良く、より美しく、優しく。
後悔をするな、嫉妬するな。毎日笑顔で接すれば相手も変わる。
自分を丸く丸くしていくようで、本当に大事なものまで一緒に削り取っているような痛みを無視しながら。
そうやって私たちが探しているのは、いつだって自分が救われる方法です。
自分ではない誰かの気持ちをなんとかしようとしている浅はかさを隠して。
でも、スネイプは違います。
ジェームズに嫉妬する、かっこいいシリウスや生徒から慕われるルーピンへの態度は大人のそれとは思えません。(お互い様なところもあるけど)
ねちっこいし、思いっきり拗らせています。
けど、堂々としてる。
ハリーのことも、色眼鏡をかけてしか見れないし、見ようとしない。
丸く、どころかどんどんトゲトゲしていく。笑
そして、深く深く、後悔している。
むしろ後悔を生きているし、絶対に後悔を捨てることはありません。
自分が感じたこと、信じたことを何一つ捨てないし、何一つ無視しない。
丸ごと抱えて生きてこうとする姿には、潔さと強さすら感じてしまいます。
だからスネイプの生き方を、良い生き方だなぁ。
うらやましいなぁ。
むしろずるいな、とすら思ってしまうのではないでしょうか。
まとめ
自分の命をかけて、自分の命そのものを誰かのために生きたこと。
それが自己犠牲ではなくて、自分のためだったこと。
どこまでも自分勝手で自分の気持ちに正直で。
そんな生き方が、今の時代にこそ「うらやましい」と羨望のまなざしで見つめられるのではないでしょうか。
ただ、そんなこと表立って言えない時代です。
自己犠牲一途な純愛、そんな言葉を隠れみのにして、実はその自由な生き方そのものに憧れているのかもしれません。

