ハリーポッターがおすすめなのは、ファンタジーや不思議な世界が好きな人だけ?
実はそれ、結構な勘違いかもしれません。
この記事では、ハリーポッターが本当はどんな人におすすめなのかを紹介します。
簡単にいうとこんな人におすすめです。
- ちょっと疲れた大人
- ファンタジー過ぎると入り込めない
もしかしたらスラムダンクやワンピースをスルーしてきたのを後悔した私と同じように、ハリーポッターをスルーしてきた半生を後悔するかもしれませんよ。
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ハリーポッターの本はちょっと疲れた大人におすすめ

作者のj.kローリングはいわゆる「本の虫」なので、ハリーポッターはただの空想物語ではない、あらゆる本や図鑑や歴史書のエッセンスが盛り込まれた世界が表現されています。
文学や本が好きな人だけでなく、ちょっと皮肉の効いたミステリーが好きな人にもおすすめなのです。
さらに彼女自身の人生の中で目の当たりにしてきた「現実」が多いに反映されているためか、フィクションなのに「リアル」です。
▪️作者の過去についてはこちらで(↓)

きれいごとに疲れたのに、それでもどこかにキレイゴトがあればいいなと思っている大人の皆さん、良い小説がここにありますよ。
ハリーポッターは「持ってる人」の物語じゃない

ハリーポッターは持ってる人の物語だ、というネットのコメントを読んで、改めて考えてみました。
あんまりいうとネタバレになるので緩めに言いますが、残念ながらハリーポッターは持ってる側の人間ではありません。
なので、「だから面白くない」という主張には納得できます。
が、持ってる人の物語だから共感できない、というのは途中で読むのをやめたことがバレちゃいます。
確かに「賢者の石」では、ダイアゴン横丁に行けば、見ず知らずの大人から握手を求められますし、ホグワーツ特急に乗った瞬間から、「ハリーポッターなの??」と周りがざわつきます。
学校に到着した後も、「あの」ハリーポッターがいる、とどこへ行っても注目の的です。
ハリー本人は知らないことを、魔法界の全ての人が知っている、という状態。
確かにスポーツでは類まれなる才能を発揮しますが、学校で特別勉強がよくできるわけでもなければ、容姿端麗とも言い難い。
両親が残してくれたガリオン金貨のおかげで生活には困りません。
でも自分を温かく見守ってくれる両親はいません。
相当に惨めな思いをしてきたし、夏休みに家に帰るのが嫌でしょうがない。
友人のロンはそんなハリーのことをうらやましく思っていますが、一方でロンは兄弟がたくさんいて、絵に描いたようないいパパとママがいます。
口には出して言わないけれど、ハリーはロンのいる世界がとてもうらやましいのです。
実際に、ハリーポッター映画に出演した俳優さんたちも「ヒーローの物語じゃない」と語っています。
これは最初の方をちょこっと読んでやめてしまうと、絶対に理解できない言葉です。
そうじゃない物語が読みたいあなた!
これが探していた物語です‥!!きづいて!!
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魔法の世界の話なのにまるで人間界

学校で注目の的となったハリーですが、一度の失敗で学校は居心地の良い場所ではなく「針のむしろ」と化してしまいます。
よくよく考えずに持ち上げ、何かあったらすぐに手のひらを返す。
我々大衆の姿を見事に映し出しているシーンです。
さらに魔法の世界だからといって、何もかもが平等なわけではありません。
貧富の差があって、持っている人と持っていない人がいる。
それから差別も根強く残っています。
噂が大好きで、ゴシップが好き。
目の前の誰かより、新聞を信じて過剰な行動に走ったり、強い方に簡単になびく、人間の弱さとかみっともなさが描かれます。
物語の世界に入り込んでいるときは、ハリーたちの立場に立って「ひどい‥!」なんて正義感をかざしています。
ですが、冷静になって改めて読んでみると、気づくことがとても多いです。
そうなったとき、あなたはどうするの?それでいいの?と問いかけられているように感じます。
こういった部分位は、作者自身が生きてきた世界観が強く反映されています。
想像でない分、もっとフラットで現実的です。何かを「正義」として押し付けてくるようなやり方ではありません。
だからこそ、小さな子どもの心の中に最も良い形で「気づき」を残すことができるのだと思いますし、大人にとってはとても「子ども向けのファンタジー」とは思えない感覚を与えてくれます。
大人になると、もはやファンタジーの皮を被った「社会派小説」だったのか‥!!みたいな感じです。
でも押し付けがましくない。
魔法というファンタジーで覆うと同時に、徹底的にひとりひとりが丁寧に描かれます。良いひとも、悪い人も。
だからといって悪い人のことを理解できるとかではありません。たとえ同じ環境に生まれ育っても、そこから何を選び、何を選ばなかったのかは、その人次第で、それが人を作るのだということが一貫して伝えられます。
そして世界には悪いものもあるけれど、良いものだってちゃんとあるんだよと、そっと教えてくれる。こういったところは、この物語の絶妙なバランス感覚の良さだと思います。
ハリーポッターはファンタジーから遠ざかった人にもおすすめ

ハリーポッターのお話は、遠い空想の国に出かけるための物語ではありません。
ちょっとその辺にある扉や通りの向こう側に、魔法使いたちの世界があって、ただ私たちには「見えない」だけなのだという、ものすごく近い世界のお話になっています。
そのおかげで、こんな人にもおすすめできます。
純粋なファンタジーはもう入り込めないのよ
そんなふうに嘆いているあなたにこそ、読んでほしい。
もちろんこんな堅苦しいことを考えずに、ファンタジーの世界を楽しみたい人にもおすすめですがね。
現実と強く結びついたファンタジー
ハリー・ポッターの魔法の世界は、作者の全くの空想から生み出されたわけではありません。
大英図書館でJ.K.ローリングの魔法の世界を紐解く企画展がおこなわれましたが、ここで展示されたのは、世界中の「魔法」の歴史でした。

奇妙なイラストや鮮やかなタペストリーなどなど、魔法は「ファンタジー」ではなく、古くから信じられ、研究されてきた1つの分野だったと教えられます。

ハリーポッターに登場する魔法の生き物たちの中には、世界中に散らばる伝説や神話を元にしたものも多くいます。
知らず知らずのうちに私たちの体の奥底に流れている長い時間をかけて受け継がれてきた「何か」と、ハリーの物語が融合することで、本や文字の上ではなく自分の真ん中から物語が広がっていくような感覚が生まれます。
ハリーポッターの世界は、全くの別世界の話ではなく、現実のすぐ裏側にある世界として身に迫る物語。
だからこそ世代を超えて、国を超えて、多くの人に愛されるのだと思います。
指輪物語が好きな人におすすめ、でもナルニア国物語とはちょっと違う
世界三大ファンタジーというのが、「指輪物語」「ナルニア国物語」「ゲド戦記」なんだそうです。
この中で一番ハリーポッターに近いのは「指輪物語」でしょうか。
私は「ナルニア国物語」を大人になって初めて読みました。

面白い…!!
読んで来なかったことを後悔しています‥。(表紙が食わず嫌いでした)
ただ、凝ったファンタジーというよりは、やはり「子どものために書かれた作品」というのがよくわかる気がします。
不思議な「異世界」が描かれ、そこで「冒険する」物語です。
作者のJ.K.ローリングはナルニア国物語が大いに影響を受けたそうですが、ハリーポッターはここからさらに現代的になり、現実に寄っているように思います。
すごく抽象的にいうと、「指輪物語」の舐めると不味そうな土の味のする物語‥っていう感じが根底にあって、ハリーポッターはそこにカラフルな原色が彩られることで、美味しそうに見える‥みたいな。笑
ナルニア国物語は、食べても美味しいままですが、ハリーポッターは「美味しそう」なだけなので、噛んでると「‥??」となります。
子ども心では全てを掌握し切れないかもしれません。心の奥には残るのですが、実態として掴むことはできないと思っています。
大人だからこそ分かる、生きることの苦味みたいなものが存分に描かれた物語。
ただ空想の冒険の世界に遊ぶのではなく、その先もそれぞれのキャラクターが痛みや悲しみを抱えながら生きていくことに想いを馳せ、自分はどう生きるのかとそっと問いかけてくれるような作品です。
ストーリーの中の仕掛けだけではなくて、「ハリーポッター」そのものが大きな仕掛けになっている、というのが近いでしょうか。
ただ、1巻や2巻を読んだだけでは、私がここで言っている意味が伝わりません。多分「やっぱファンタジーじゃん」となります。
残念ですが、最終巻まで我慢して読み切ってください。その先で見える景色は大きく変わるはずです。
まとめ
「ファンタジー」に括られてしまうハリーポッターは、あらすじだけ読むと、「ああよくある魔法の話ね、フィクションね」となります。
だから、本を手に取るハードルは、なかなか高めだと思っています。特に大人や、大人びたい年頃の子どもには難しい。
私もしばらくかかりましたし、その後も堂々と「ハリーポッターが好き!」というのははばかられていました。
なんか「芥川龍之介が好きです」みたいに言った方が、頭良さそうじゃないですか。笑
心惹かれたのは間違いのない事実。ですが自分でもその理由を「魔法が面白かったのかな」くらいにしか思っていませんでした。
大人になって改めて本を読み返して、「ああもしかしたら幼心に色んなことを、無意識に感じ取っていたのでは?」と思いました。
今は「ええハリーポッター??」みたいに言う人のことを気にしないくらいには、心惹かれる理由を説明できます。
ハリーポッターの物語を本当に必要としている人に、この本が届くように願ってこの記事を書きました。
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