舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」はひどいのか?
チケットは結構なお値段ですし、見に行ってつまらなかったら嫌ですよね。
私も最初はイギリスのお話だしどうなんだい?と思っていました。
が、行ってみて思ったのは…

行ってよかった!!
また行きたい!!
でした。
一方で「ハリーポッターと呪いの子」がひどいと言われる理由もわかる気がしています。
良くも悪くも舞台「呪いの子」はハリーポッターの「続編」です。
ハリーポッター7作品を思いっきり下敷きにしているので、舞台の中だけでは知識や物語が完結しません。
さらに物語上、7作品が「過去」として舞台の中に何度も登場するという「構成」。
なので、本編7作品の「あらすじ」を抑えておかないと・・



今の何?!
が続出です。
そうすると、よくわからない、つまんない、ひどいと思ってしまうのかも。
この記事ではそうならないよう、舞台「呪いの子」で必要な本編7作品の知識を紹介します。
特に、
- 分霊箱
- 3大魔法学校対抗試合
- スネイプ
- ダンブルドアとアリアナ
この辺りがとりあえず、なんとなく理解できていれば、かなりスムーズに舞台のお話に入り込めるはず。
本編の知識がないと「面白さ」が半減してしまうので、この記事の解説は、ハリポタ7作品のネタバレを含みます。
ですが、舞台上でめちゃくちゃ大量のネタバレが超「さらっと」繰り広げられますので、遅かれ早かれ・・ではあります。
ちゃんと自分で読みたい人は、自己判断でお願いします。
▪️呪いの子の舞台脚本も読み放題です
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▪️最低限見ておきたい!
ひどい?舞台「ハリーポッターと呪いの子」はつまらない原因は早口と事前知識不足かも


「ハリーポッター・舞台」と検索すると、「ひどい」という言葉が紐づいて出てきます。
私自身も「本で十分だしなぁ」と思っていたクチです。
「行ってよかった…!もう一度行きたい」と心から思っているものの、これはひどいと言われちゃう理由になるかも‥と思い当たる部分もありました。
まずは感想を両面から。
専用劇場ならでは!魔法の演出が最高
まず、舞台の装飾や演出や、魔法について。
ここは、もう本当に最高です。
1つのアトラクションだと思って観ると、最高の空間。
専用の劇場に改修するのもこれなら納得です。
とにかく「ハリーポッター」を上演するため「だけ」という振り切ったTBSに感服のクオリティーになっています。
セリフが早口で物語の前提知識が必要な構成
・・ですが、私みたいな「ひねくれもの」が観ると、若干気になるところもあります。
何といっても、セリフが結構な早口です。
日本で上演されている脚本は、本場ロンドンで乗船されてているものに比べると、めちゃくちゃ短いバージョンです。
ですが、それでも英語と日本語の差はすさまじいんだなと痛感させられます。
なので絶対に、噛む場面やセリフがはっきりしないシーンが出てきます。
さらにやっかいなことに、ハリーポッターの作者であるJ.K.ローリングの物語の魅力は、セリフのやり取りの素晴らしさです。
セリフがしっかり物語の芯を食っているので、大切なセリフを聞き逃すと・・相当きつい。
何より大きいのは、舞台「呪いの子」が思いっきりハリーポッターの物語を前提にしていることです。
ファンタスティック・ビーストとは桁違い、です。
あれもこれもそれも知っていて、頭の中で補いながら観ると、もうどうしようもないくらい面白い、有難いお話なのですが、お話だけでなく、「場面」も頭の中で補う必要があるのも事実です。
ここからは、せっかく見に行って「なんかつまんない‥」で終わらないように、最低限知っておきたいこと、思い出しておきたいことをまとめます。
本で読んだり、映画で見たりしていても、実は結構記憶が曖昧になってることも多いので、この記事でしっかり予習・復習していきましょう!
時間がない!ハリーポッターと呪いの子を初心者が楽しむ方法
時間が無限にあれば・・本を全部読んでください、映画全部見てください!
以上。
ですが・・笑
忙しい現代人にはハードルが高すぎますよね。
なので、この記事と合わせて映像のイメージだけでいいので目に焼き付けておいてください。
映画「炎のゴブレット」だけは必須
これだけは見ておいて欲しいのが映画「炎のゴブレット」です。
呪いの子の舞台では、この「炎のゴブレット」のシーンやエピソードが山のように出てきます。
が!
「炎のゴブレット」は、とにかく色んな魔法生物やら「障害物」やらが登場し、しかもその多くが特殊すぎるのです…。
舞台上で全てを表現するには限界があります。
映画を見たことがある人にとっては、舞台の少ない情報だけでも、場面の情景が目に浮かぶので問題ありません。
ですが、全く知らない・見ていない人だと、「え???」となる。
そう、あなたには見えていないものが、周りで「わぁ!!」って言っている人には見えているのです。
ここが呪いの子の舞台が、なんとなく消化不良だとかひどい、つまらないと思ってしまう原因なのだと思っています。
なので、騙されたと思ってこの回「だけ」見ておいてください。
早送りで、課題からラストシーンまででもいいので見ておくと舞台を見ている時の「??」がだいぶ減ります。
さらに余裕があれば・・
「賢者の石」も見ておきたい
「賢者の石」は、どうしても時間がなければ、最初からホグワーツに到着して組み分けするところまででもいいです。
ハリーがホグワーツという場所を「どう思っている」のかが、舞台の物語の鍵になっています。
さらに、学校へ向かう汽車のシーンは、「呪いの子」の最初の場面とも繋がります。
舞台「呪いの子」で必要な事前知識を紹介
ここからは、ハリーポッターの全7作品全体を通して初めて分かる、あらすじや仕掛けの部分を紹介して行きます。
呪いの子の舞台を楽しむために、どうしても必要なものだけを厳選しています。
(やっぱり本とか映画とかの楽しみは取っておいて欲しいので・・)
とはいえ、呪いの子の舞台でもしっかりネタバレしてくるので、当日舞台で断片だけ知るか、今知るか・・



判断はお任せします…
舞台「呪いの子」につながるハリーポッター7作品の軸
ハリーポッター7作品の軸となるのは・・
闇の魔法使い:ヴォルデモート
(舞台では「ヴォルデモー」)


彼との戦いです。
ハリー・ポッターは、魔法使いの両親の間に生まれます。
ハリーが生まれた時には、ヴォルデモートは勢力を拡大し、魔法界には真っ暗な闇の時代が訪れていました。
ハリーは生まれた時からヴォルデモートに命を狙われ、両親と共に「ゴドリックの谷」に隠れ住んでいました。
しかし、仲間だと思っていた両親の友人の裏切りによって、ハリーが1歳のハロウィンの日、ヴォルデモートがハリーたち家族が暮らすゴドリックの谷へとやってきてしまいます。
ヴォルデモートは、ハリーの父親と、「ハリーだけは助けてくれ」と懇願する母親「リリー」をはねのけ、幼いハリーを手にかけようとします。
しかし、ヴォルデモートが「死の呪文」を放った瞬間、その呪文はヴォルデモート自身に跳ね返り、彼自身の身を滅ぼしてしまいます。
多くの大人の魔法使いがヴォルデモートに戦いを挑み、大勢が殺されました。
にもかかわらず、最後にヴォルデモートにトドメを刺したのは幼いハリーだったのです。
では、ハリーはなにかとんでもない力を持っていたのか・・というと、そうではありませんでした。
母親の「リリー」が自分の命と引き換えに、息子のハリーを守るため「古い魔法」を使ったのです。
このときに出来たのが、ハリーの額の雷の形をした「傷」。
この傷を通して、ハリーはヴォルデモートと不思議な繋がりを持つことになります。
それは、ヴォルデモートの心が、意図せずハリーの中に流れ込んでくる・・というものでした。
特に、ヴォルデモートが強く残忍な思いを持ったときに、ハリーには強く伝わります。
それは「傷の痛み」となってハリーを悩ませ、時にはその繋がりを逆手にとられ、罠にかけられてしまう原因にもなります。
ヴォルデモートが復活してから、傷の痛みに悩まされることが増えていったのですが、7作品の最後でヴォルデモートを倒してからは、痛むこともなくなりました。
▪️このあたりは、1作品目の「賢者の石」で描かれます。
せめて「賢者の石」だけでも見ておくと、登場人物が最低限把握できます。
舞台「呪いの子」:魔法界の英雄「ハリー・ポッター」
ハリーは魔法界を闇から救った「英雄」です。
しかし、英雄として讃えられると同時に両親を失ってしまったハリーは、魔法界から遠く離れた人間(マグル)の親戚のもとに預けられます。
これを決めたのが、ホグワーツ魔法魔術学校の校長であり、唯一ヴォルデモートが恐れた人物「アルバス・ダンブルドア」。


長い髭に、キラキラした青い目を持つ、お茶目なおじいさまです。
実は、ハリーを魔法界ではなく、親戚の元に預けたのには理由があります。
ハリーの母親がハリーをヴォルデモートから守るためにかけた「あの魔法」とも深く関係があるのです。
ハリーの母親リリーがかけた魔法は、ハリーが自分と血のつながりのある「家族」のもとにいる限り、ハリーを守るというものだったのです。
両親が亡くなってしまった後、唯一の「家族」が親戚のダーズリー家。
魔法界で小さな英雄ハリーを引き取りたい人はたくさんいたはずですが、マグルの世界に放り込まれてしまったのにはこうした理由があったのです。
ですが、この親戚ダーズリー一家とポッター一家には埋められない溝がありました。
ダーズリー家は、ハリーの母親の妹「ペチュニア」が嫁いだ先ですが、とにかく「魔法」や「不思議」が大嫌い。
ハリーの母親と血の繋がりのある「ペチュニア」おばさんは、魔法が怖いとか嫌いとか以上の理由もあります。
血の繋がりのある妹のリリーにしか魔法の力が現れず、両親にチヤホヤされている。
幼心にうらやましさに耐えかね、妹への思いを大きく拗らせてしまった彼女。
一度はダンブルドアに宛てて、自分をリリーと同じようにホグワーツに入学させてくれないかと手紙を書いたこともあるのです。


夫のダーズリー氏はそんなことは知らず、純粋にそういう不思議が大嫌い。
妻のペチュニアと二人で、ハリーの中に宿る不思議な力が起こすトラブルを、とにかく否定し、ハリーの中からそういった力を締め出そうとします。
そのせいで、ハリーの部屋は階段下の物置。


いとこのダドリーにいじめられ、おばさんたちから辛い扱いを受け、おおよそ魔法界を救った「英雄」が歩く道とは真反対の幼少期を過ごすことになってしまいます。
ですが、11歳の誕生日。
ホグワーツから届いた「入学許可証」のお手紙をきっかけに、ハリーは自分が魔法使いであることを知る・・


そして、物語が始まっていきます。
ホグワーツはハリーの「家」であり唯一の居場所
両親を失い、ダーズリー家で辛い思いをしてきたハリーにとって、魔法学校「ホグワーツ」は「家」であり「居場所」になります。


学校へ向かう「ホグワーツ特急」のなかで、一生の友人となるロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャーとも出逢います。


ひとりぼっちでいじめられっ子だったハリーが、友達と呼べる誰かとお菓子を分け合ったり、冗談を言い合ったり。
そんな何気ない幸せを見つけて行きます。
夏休みには、相変わらず、ひどい扱いを受けるダーズリー家に必ず帰らないといけない。
むしろ夏休みが明けて、ホグワーツに「帰ってきた」と感じるようになります。
ハリーにとっての「家」は、ダーズリー家ではなく、ホグワーツ。
だから、学校が危機に陥れば、身をていしてでもその危機に立ち向かおうとする。


勇気をもった戦い、というよりは、せっかく手に入れた幸せな記憶のある場所を、絶対に奪われたくない、奪われてなるものか・・
そんな強い気持ちに突き動かされてハリーは、自分の元に舞い込んでくる「トラブル」と闘って行きます。
呪いの子の物語につながる「3大魔法学校対抗試合」
ホグワーツはイギリスの魔法学校ですが、魔法学校は他の国にもあります。
(実は日本にもあります。)
ハリーが4年生になったときに開かれたのが、3つの魔法学校による「対抗試合」。
「トライ・ウィザード・トーナメント」です。


3つの学校の代表選手として選ばれた1名ずつ、3名が学校の名誉をかけて、難しい課題に挑んでいくというもの。
ヴォーバトン、ダームストラングという2つの学校の選ばれた生徒が、ホグワーツにやってきます。
「ダームストラング」という単語は今覚えてください。
さらっと出てきます。
この試合のホグワーツの代表選手は、セドリック・ディゴリー。
そして、「ハリーポッター」。
ハリーは対抗試合の年齢制限を満たしておらず、本来は出場を希望することすら叶わない・・
はずなのですが、ヴォルデモートの策略によって、ホグワーツ2人目の代表選手となってしまいます。
もう一人の代表者が「セドリック・ディゴリー」。
ハンサムで、しかも「いいやつ」という、非の打ちどころのないヒーローキャラです。
この「セドリック・ディゴリー」の存在が、「呪いの子」の舞台に大きく関わってきます。
課題は1年間かけて行われ、全部で3つの課題が行われました。
1つ目が、ドラゴンから卵を奪うと言うもの。


2つ目が、大きな湖の中に囚われてしまった「大切なもの」を取り返す。
湖の中で「息をする」ということは、代表選手のクリアしなければならない大問題でした。
そして最後が、魔法で作られた巨大な迷路に入り、さまざまな障害物を超えながら、迷路の中心にある「ゴール」を目指すというもの。
この最後の「迷路」が、ハリーに対して仕掛けられた「罠」だったのです。
ヴォルデモートの策略によって、ハリーは迷路の中心へと順調に進みます。
ですが、セドリックもゴールにたどり着く。
セドリックの公正で真っ直ぐな心によって、2人は同時に優勝カップに触れ、同着1位、ホグワーツの勝利を選びます。


が・・
この優勝カップは他の場所へ「ワープ」するための「ボートキー」に変えられていました。
その行き先は、ヴォルデモートのもと。
辿り着いた直後に、ヴォルデモートの「余計なやつは殺せ」と言う言葉と共に、セドリックは命を落とします。
この「余計なやつ」という言葉が、呪いの子の中で何度も出てきます。
舞台の中では「スペア」と言う言葉に変わっていたので、これも注意です。
パッと聞いて思う印象が大きく変わりますので。
せめて、せめて・・
第4作品目「炎のゴブレット」だけでも見ておくと、かなり面白く楽しめると思います。
「呪いの子」のキーワード:「分霊箱(ぶんれいばこ)」
ハリーポッター全7作品のキーワードとして、後半に出てくるのが「分霊箱」と言う言葉。
耳で聞いて「ぶんれいばこ」を漢字変換できる人はいないはず。
しかし、舞台「呪いの子」の劇中にもしっかり出てきます。
(さらっとセリフで説明される)
これは、ハリーポッターの物語そのものに関わる話なので、読みたくない人はここまでにしてくださいね。
そもそも分霊箱とは
そもそも分霊箱というのは、ヴォルデモートが自分の「魂を分けて」その魂を入れた「箱」です。
「ホークラックス」とも呼ばれます。
ヴォルデモートは「不死」を実現するために、自らの魂を切り刻み分割することで実現しようとしました。
魂を切り刻むためには、「殺人」を犯さなければなりません。
ヴォルデモートが用意した分霊箱は、なんと7つもありました。
2作品目「秘密の部屋」に登場した日記。


これも「分霊箱」の1つでした。
偶然ハリーが破壊しますが、実は分霊箱だったと後で明らかになります。
全てを破壊しないと、ヴォルデモートをやっつけることができない・・という無理難題。
ヴォルデモートは自分の魂を入れておく箱として、歴史的な遺物など意味のあるものを選びます。
その1つが、ヴォルデモートと行動を共にしている大蛇「ナギニ」。


ナギニはハリーの友人の一人である「ネビル」という男の子のよって、破壊されます。
そして、実は分霊箱の1つが「ハリー」自身・・・。
ヴォルデモートがハリーを殺そうとした時に、意図せず、ハリーを最後の分霊箱にしてしまったのです。
つまり、ハリーは自らの命を正しい時に失う選択をしなければ、ヴォルデモートを倒せない・・ということです。
ダンブルドアはこの事実に、早くから気づいていたようです。
けれど、ハリー自身に、その選択を受け入れ、自ら選んで欲しかった。
そのために、ダンブルドアはハリーにめちゃくちゃ複雑な道のりを用意したのです。
呪いの子にも登場:ダンブルドアとスネイプ
「呪いの子」では、ハリーポッターの息子が登場します。
その名前が・・
アルバス・セブルス・ポッター
この名前は二人の人物からもらっています。
名前の主、アルバス・ダンブルドアとセブルス・スネイプの存在を無視するわけにはいきません。
アルバス・ダンブルドア
アルバス・ダンブルドアとは、ホグワーツ魔法学校の校長先生。


ヴォルデモートに唯一対抗できる魔法使いと言われた人物です。
実はとても悲しい過去を抱えているのが、偉大なダンブルドア。
ダンブルドアには妹「アリアナ」がいました。


アリアナは、幼いときに魔法を使っているところを人間(マグル)の子供達に見られ、その子供達に襲われてしまいます。
それをきっかけに魔法の力が上手く制御できなくなってしまい、家の中で誰にも知られずに隠されて育てられます。
ダンブルドアは若い頃から優秀で、その力を外で試したい、同じく力のある友人と冒険に出かけたい・・
そんな気持ちを抑えられなくなり、弟と友人を含めて大喧嘩になってしまいます。
そして・・その喧嘩に巻き込まれて、アリアナは命を落としてしまう。
ダンブルドアはその十字架をずっとその身に背負ってきました。
このあたりの詳細は、「ファンタスティック・ビースト」でも描かれます。
ハリーのことを心から愛していたダンブルドアですが、その愛すら上手く扱えず、また自分が愛されることも強く恐れていた。
そのせいで、ハリーはその「何重にも曲がった複雑な愛情」をどう受け止めればいいのか、大人になっても考えあぐねることとなります。
セブルス・スネイプ
そしてもう一人が、こちらも盛大にこじらせた大人セブルス・スネイプ。
写真の中央寄りの黒い衣装に身を包んだ男性が「セブルス・スネイプ」です。


ハリーの魔法学校の「先生」です。
それだけではなくて、実はハリーの父母の同級生でもあります。
特に母親のリリーとは同郷。幼なじみのような関係で、気の強いリリーは、ホグワーツで同級生にいじめられるスネイプを守っていました。
ただ、いじめていた同級生の主犯格だったのが、まさかのハリーの父親「ジェームズ・ポッター」なのですが・・
スネイプはリリーに強い思いを寄せていますが、リリーに守ってもらうことしかできないカッコ悪い自分を受け入れられず、リリーにひどい言葉(「穢れた血」)を放ってしまいます。
その後、スネイプはヴォルデモートの配下「死喰い人」に。
リリーはジェームズ・ポッターと結婚し、ハリーが生まれます。
死喰い人になってもスネイプの思いは変わらず、リリーにありました。
これは最終巻で明らかになるのですが・・
ヴォルデモートが幼い「ハリー」の命を狙っていると知り、「リリー」が危ないと感じたスネイプはダンブルドアに助けを求めます。
もちろん「ハリー」を救ってくれではなくて、「リリー」を助けてくれ・・です。
スネイプにとっては、ジェームズもハリーもどうでもよくて、とにかくリリーが助かればよかった。
ポッター一家は揃って身を隠しますが、両親の友人の裏切りによって、ヴォルデモートに居場所を突き止められてしまいます。
そして・・・
リリーは命を落とします。
ダンブルドアに「リリーを救ってくれなかった!!!」と食ってかかるスネイプ。
そんな彼に、ダンブルドアは「リリーの忘れ形見」である「ハリー」を守り、導くことを指示します。
死喰い人としてヴォルデモートの腹心の部下を演じながら、ダンブルドアのスパイも行うという「2重スパイ生活」をその命が尽きる日まで続けることになるのです。


そんなわけでスネイプのハリーに対する感情は複雑そのものです。
ハリーは愛するリリーの忘形見であると同時に、憎っき「ジェームズ」の子でもある。
その胸中は複雑で、ハリーを虐めながら見守り続けるという精神崩壊しそうな無理難題を続けてきた、スネイプ。
それでも、リリーへの思いは強く強く心に根を下ろしています。
それを証明するかのように、スネイプの「守護霊」は雌鹿です。
リリーと同じ守護霊なのです。


この辺りはハリーポッターの面白さをよく表している部分でもあります。
「賢者の石」だけで面白くないとやめてしまうと、スネイプ先生はただの嫌なやつですが、最後まで読むととんでもなかったわけです。
TBSのドラマ「VIVAN」でも重要な暗号になっていました。
スネイプもダンブルドアも過去に大きな誤ちを犯します。
ですがその誤ちを心から恥じ、十字架を背負ながら「正しいこと」を為そうと生き抜いた勇敢な2人なのです。
スネイプ先生の本当の思いについては、最終巻「死の秘宝」の中でやっっっと描かれます。
ハリーポッター舞台「呪いの子」でも登場:肖像画の不思議
ハリーポッターの世界では、肖像画はじっとしていません。
その中に描かれた人物は、勝手に他の絵にお出かけしたり、いびきをかいて眠ったり、生徒にちょっかいをかけたりします。


特に、校長室に飾られている、歴代の校長先生の肖像画は、時に現在の校長たちへ助言を行なったりします。
とはいえ、魔法で生き返った・・とかではありません。
生きている時に、校長自身が肖像画に魔法をかけ、自分自身の記憶や性格を吹き込むのです。
あくまで「記憶」。
しっかり会話ができるのですが、決して生身の人間ではない。
どれほど本人に似ていようと、「過去」でしかなく、今を生きている自分たちとは決して同じ線の上にはいないのです。


▪️「呪いの子」舞台脚本で予習
ハリーポッター舞台「呪いの子」事前知識の予習
ハリーポッターの舞台には、全作品の知識が総動員されます。
ですが・・少なくともこの2つ!!
第1作品目:賢者の石
第4作品目:炎のゴブレット
もちろん、最後の「死の秘宝」も見てほしいです。
が、間を相当ふっとばすことになるので・・お任せします。
とはいえ、結局「呪いの子」の舞台を見ちゃうと、本編の結末が、詳細に盛大にネタバレしてしまいます。



・・苦しい
なので、時短を目指して見るなら「PART2」だけでもいいです。
舞台「呪いの子」は、PART2「ラストシーン」からの続きの物語です。
舞台脚本「ハリーポッターと呪いの子」
舞台脚本を読んでおくのも1つの手です。
あくまで脚本の形であって「小説」ではないので、さらっと読めます。
字が少ないし、セリフが多いので。
耳で聞くだけでは、うまく漢字変換できない単語がいっぱい出てくるので、そういうのを事前に知っておけば、わからないストレスはかなり減ります。


文庫版が出たので、買いやすくなりました。
▪️電子書籍はkindle unlimitedの読み放題の対象になっています。体験を利用してさっと読んでしまえば無料で読むこともできます。
まとめ
ハリーポッターと呪いの子を、事前知識なしでも楽しめそう・・!ならいいのですが。
私のようにちょっと捻くれている自覚のある、あなた、のために書いてみました。笑
引っ掛かりがあると、物語に入れなくなっちゃうタイプの人のために。
全部覚えるのは難しい・・かもしれませんが、少しでも呪いの子の舞台を「面白かった」と思ってもらうための助けになれば嬉しいです。
ここまで読んで面白そう・・と思ったら、「呪いの子」の舞台脚本だけ読んでみるのもおすすめ。
東京バージョンはかなり短いので、イギリスで上演されている脚本がおすすめです。
この機会に、本や映画も!