「ファンタスティックビーストとダンブルドアの秘密」は、ファンタビシリーズの3作品目。
普通にみていると、1と2に比べて主要人物が出られなかったり、グリンデルバルドが変わってしまったり・・
と気になるところが多いな・・ローリングはやりたいようにやれたのかしら・・なんて思ってました。
ですが・・ダンブルドア主役のお話として見てみる・・と・・
ダンブルドアの秘密のラストシーンが「全て」なんじゃないかと思えるくらい。
打ち切りになってももしかしたらいいのかも・・と思えるくらいになります。
ただ、ハリーポッターの原作を通して知っているからこそ・・だと思うのです。
ファンタビだけでも十分意味は通る。
ですが・・ちょっと違う。
しかし、今から原作読んでくれ・・!はちょっと無理な相談です。
この記事では、ダンブルドアの「あのシーン」が持つ意味がしっかり伝わるように、必要な部分に絞ってまとめていきます。
※「ハリー・ポッター」のダンブルドアの過去について、ファンタビの「ダンブルドアの秘密」の一部についてネタバレを含みます。
ファンタビとハリーポッター、2つの時代の「ダンブルドア」
映画「ファンタスティック・ビースト」は、ハリーポッターよりずっと前の物語です。
70年前とか60年前とか。
当然ハリーは生まれていませんし、ハリーの両親もまだ生まれていない頃。
共通するキャラクターは、ダンブルドア先生とマクゴナガル先生くらいです。
その中で、思いっきりメインに登場するのが「ダンブルドア」です。
ハリーポッターの時には「校長先生」になっている彼は、ファンタビの中では生徒に人気の「若い先生」です。
ハリーポッターの中のダンブルドア「校長」
ハリーポッターの物語の中では、最初から、全てを見透かしたような存在がダンブルドアです。
まさに「校長先生」。
青い瞳はキラキラとした光を失わず、いつもチャーミングなお爺さん。
敵までもが互角かそれ以上と認める強大な魔法の力を持っています。
それと同時に、魔法界で権力を握ろうとか、誰かを支配してやろうとか一切思うところのない「人格者」です。
そう、物語の最初はね。
でも、それには「理由」がある。
その「理由」のせいで、ダンブルドアは長く苦しみ、自分自身を強く恥じてきました。
だからこそ、ハリーに「賢者の石」のお話の中で「みぞの鏡」に映ったものを聞かれたとき「あったかそうな靴下」と伝えたのでしょう。
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ファンタスティック・ビーストのダンブルドア
ファンタスティック・ビーストのダンブルドアは、若くて強力な魔法使いです。
どこか人を食ったようなところは相変わらず。
ファンタビの主人公ニュートもダンブルドアに振り回されます。
瞳のキラキラは若さゆえの「ぎらつき」を携えています。
それと同時に、寂しさや切なさ、飲み込みきれない何かが滲むのが、ファンタビのダンブルドア。
その理由が明らかになるのが3作品目「ダンブルドアの秘密」です。
全てが詰まった「ダンブルドアの秘密」ラストシーン
ダンブルドアの秘密のラストシーンは、クイニーとジェイコブの結婚パーティーです。
会場はジェイコブのパン屋さん。
すっかり日が落ち、真っ暗な通りに雪が舞っています。
会場の外の通りに出てきたニュートにダンブルドアが話しかけ、ニュートの協力に感謝を伝えます。
クイニーに呼びかけられ、店内へ戻っていくニュート。
暗い通りに、華やかで幸せに包まれた温かい明かりが漏れ、笑い声が響きます。
それをじっと見つめる、ダンブルドア。
一人また一人と来訪を告げる明るいベルの音と共に会場に吸い込まれていきますが、彼はじっと動きません。
そして、しばらくすると真っ暗な雪の夜道を一人歩いて行ってしまいます。
暗い街に消えていくダンブルドアの後ろ姿を中心に、カメラが大きく引いて第3作目が終わります。
・・
ファンタスティックビーストのメインのシーンはここだったんじゃないか?
その理由をしっかり解説していきます。
「ハリーポッター」で語られたダンブルドアの過去と秘密
ダンブルドアの過去、特にファンタビで悪役となった「グリンデルバルド」との間に何があったのかは、ハリーポッターの物語の中で明らかにされます。
ただ、ダンブルドアによって語られるのではなく、ゴシップ記事や弟からの伝聞という形です。
なので、その時ダンブルドア本人が何を考えていたのかは、彼らの側からしか伺うことはできません。
若い日のダンブルドアは、同じく若者だったグリンデルバルドと出会い、魔法界を大きく変革していこうと考えます。
どちらも強い力を持った若者。
傲慢さや自分の力に対する過信もまざって、ダンブルドアは野望とも言える想いに夢中になっていきました。
そこでグリンデルバルドと交わしたのが「破れぬ誓い」。
ハリーポッターの物語の中でも登場しますが、約束を決して違わぬようにという強い魔法契約です。
ファンタビの中では美しいネックレスがその入れ物として描かれますが、ダンブルドアがその誓いを破ろうと考えただけで、ダンブルドアを締め上げ殺そうとします。
それくらい強い約束だった・・
互いへの強すぎるほどの信頼と、自分達の野望に対する揺るぎない信念があったことが現れています。
当然、家の外に意識が向かい、家族や周りの人に目が行かなくなる。
そこで事件が起きてしまいます。
ダンブルドアの妹の死
ダンブルドアの妹「アリアナ」は、オブスキュリオです。
ファンタスティックビーストの1、2でスポットが当たる「オブスキュラス」を生み出してしまう者という意味です。
ファンタビ作品の中で語られるように、オブスキュラスは何かのきっかけで魔法の力が内側にこもってしまい、爆発してしまうもの。
魔法の力がコントロールできなくなってしまうため、周りの人を傷つけたり破壊したりします。
さらに、本人も長く生きることができません。
ダンブルドアの妹は、小さな頃、魔法を使っているところをマグルに見られ、その子たちに暴力を振るわれてしまいます。
それがきっかけで魔法をコントロールできなくなり、家族は彼女が隔離されることを恐れて、自宅に隠すようになりました。
ダンブルドアの兄弟はもう一人弟がいて「アバーフォース」といいます。
アリアナを置いて、グリンデルバルドと野望を追いかけて出て行こうとするダンブルドアとあバーフォースが喧嘩になり、そこへグリンデルバルドも参戦し、大変な喧嘩になります。
そして・・
しばらくして気がつくと、アリアナが息を引き取っていた・・。
誰が殺めたのかは分かりません。
でも・・ダンブルドが出て行こうとしなければ、こんなことにはならなかった・・
ダンブルドアは、家族も家族からの信頼も、そして夢や友をも失ってしまいます。
グリンデルバルドはファンタスティックビーストの1作品目で、アリアナと同じ「オブスキュリオ」を必要に探していました。
その理由は、ダンブルドアの弱みを知っていたから・・なのでしょうか。
オブスキュリオは「クリーデンス」だったと分かるわけですが、さらに2作品目の終わりでは「ダンブルドア」の血縁者だということも明らかになります。
・・そこまで分かってダンブルドアにぶつけようとしていたんだとしたら・・
グリンデルバルド・・怖すぎます。
なんかもう恋人に裏切られた復讐劇くらいの陰湿さを感じます。
ハリーへの愛情もこじらせていたダンブルドア
若さゆえの甘い野望も、友との冒険も叶うことなく、ダンブルドアは歳を重ねていきます。
そこでまた、愛する存在に出会ってしまう。
ハリーポッター。
彼自身を守るために、魔法界から遠ざけ、そして入学と同時に自分のもとへ迎え入れた。
彼を守ろう、そして傷つけるような真実は出来るだけ後ろに持っていきたい。
愛の大切さを語るダンブルドアが、一番愛に飢えていて、そしてそれをどう扱っていいか分からなかった。
最後まで。
これは呪いの子の舞台でもちょっぴり描かれますが。
>>つまらないを最短解決!ハリーポッター初心者も舞台「呪いの子」が分かる本編あらすじ解説
強大な力を持ち、人の心を見透かすような瞳をもった「偉大」な魔法使いは実はそんな不器用な人間だった。
だからこそ、人の弱さを強く理解していたのかもしれません。
ファンタスティック・ビーストのダンブルドア
そして、前出のファンタスティックビーストの最終シーンです。
扉の向こうの灯りを見つめるだけのダンブルドア。
楽しくて幸せな明るい場所に自分が参加することを許していないことが伝わってきます。
この頃から、そしてこの先もずっと。
愛する人や大好きな人に、どう触れていいのか分からずに、どこまでも自分を責めて恥じて。
それなのに心の中に溢れている、深くて強すぎる愛。
もうとんでもなくこじらせてます。
強い後悔と失ってしまった悲しみと・・
だから自分の中で線を引く。
自分は扉の向こうには絶対に行けないけれど、この扉の向こうの幸せを守っていかなければいけないんだ・・
そんな悲しい使命感を背負った背中に見えました。
そしてこの後、愛した友人を、おそらく唯一ダンブルドアが同じ目線で語り合えた人物と本格的に敵対しなければならない。
それまでは、なんだかぐらぐらなよなよしてましたが、何か決意をしたような・・
そんなシーン。
もう終わるから結婚させちゃったのかな・・って勘繰ってしまいましたが・・
いやはや。
だからファンタビは分かりにくいって言われるんでは?笑
またしても「ファンタジー」の領域を飛び越えたJ.K.ローリングに、果てしない尊敬を込めてそんなことを言いたくなります。
ダンブルドアの肖像画。
安らかな表情を見て、浮かぶ感情は様々。
▪️詳しく読んでみるなら(↓)
まとめ
ダンブルドアの秘密、少しでも見てみたい・・!となっていたら嬉しいです。
映画だけでなく原作を読んでほしい!と思う理由は、単にシーンが増えるとか、登場人物が増えるとか、それだけではありません。
原作の中では映画では描ききれない登場人物の「感情」が何度も登場します。
映像では「表情」とか演出とかのみですが、本は「文字」をつかってさまざまに表現することができます。
それが幾重にも重なって、物語を織って行く。
同じ結末でも、同じ流れでも、そこに辿り着くまでに拾えるもの、感じられるものの幅は大きく広がります。
とはいえ、映画化された映像がなければ、私の頭の中の杖はただの棒切れだったでしょうし、クイディッチなんてサッカーボールだったかもしれません。笑
映画の力があって、小説の力があって、初めて全てが一つになるハリーポッターの世界。
珍しいこの物語の世界に踏み込んでくれたら嬉しいです。
とりあえずAmazonプライムビデオで見放題のうちに・・・!